世界一の生産数を誇るアサルトライフルといえば、旧ソ連時代に開発された「AK47」ですが、世界一有名なアサルトライフルなら、アメリカの「M16シリーズ」でしょう。
「M16シリーズ」
銃器開発の天才、ユージン・ストーナーが開発した「AR-10」をベースに、コルト社がアメリカ陸軍の制式採用の座を狙って設計した小銃です。もともと、ストーナーはフェアチャイルド社の銃器開発部門であるアーマーライトでAR-10を開発しました。その時の口径は当時、西側のスタンダードだった7.62mmです。
AR-10は、発射ガスの一部を銃身からガスバイパスを通し、ボルトキャリアに直接吹き付けてボルトを後退させるという従来のブローバック・システムとは違います。ボルトキャリアの内部にあるシリンダーにガスを入れるため、ボルトの汚れが少ない=作動不良が少なくなるという発想で生まれました。
そのため、構えやすく反動も制御しやすい直線的なストックを装備することができました。また、アルミ合金製のレシーバーやグラスファイバー製のハンドガードやストックを採用したことで、軽量化にも成功しています。当時としては画期的なライフルでしたが、AR-10そのものは10,000丁ほどしか生産されていません。スチール製のレシーバーが当たり前だった時代にアルミ合金を使用したのは、フェアチャイルドが航空機メーカーで、軽量合金の扱いに慣れていたという事情がありました。対地攻撃機の傑作といわれる「A-10 サンダーボルトⅡ」も同社の製品です。
「AR-10」
AR-10は、アメリカ陸軍のM-1ガーランドの後継小銃のトライアルに参加するも、「M14」に敗れてしまいます。しかし、ベトナム戦争が勃発すると、M14がジャングルでの戦闘に向かないことが判明しました。長い全長は取り回しが悪く、反動の強さは命中精度を下げ、木製のストックは湿気によって悪影響を受けたのです。
その真逆の特徴を持っていたのが、AR-10をベースにコルト社が開発中だった「AR-15」でした。構造や素材などはAR-10を引き継ぎつつ、口径をより高速で反動も小さい5.56mmに改良したモデルです。全長もM14より10cm以上短く、軽量で材質も湿気による腐食に耐えられます。そこで、アメリカ陸軍はすぐにAR-15を制式採用し、「M16A1」の名称を与えて実戦投入しました。
ベトナム戦争とM16シリーズ
ベトナム戦争終結まで使用されたM16A1は、銃身長を短くしたり、ストックを伸縮式にしたM653などの「カービン」タイプの派生系も生み出しています。
ベトナム戦争後は、弾薬をそれまでより貫通力の高い「M855」というNATO制式弾に変更することになりました。しかし、銃身がそのままでは精度が低下してしまうため、より太いバレルに変更すると共に、構えやすくするためにハンドガードの形状変更、ストックの延長を行い、リアサイトもダイヤル式で簡単に調節できる方式に変更。最終的にはフルオート機構の代りに3バースト(トリガーを引くと3発だけ発射する)機構を搭載した「M16A2」に生まれ変わります。
そして、M16A2が本格的に実戦で使用されたのは1991年の湾岸戦争からでした。同時にカービン・モデルも非公式ながら特殊部隊などで使用されたようです。また、アメリカと共同で作戦行動を行ったイギリスの特殊部隊「SAS」は、自国の「L-85」ライフルに不具合が多かったために、M16シリーズ(どのモデルかは不明)を使用したことが確認されています。
フルサイズのM16シリーズは、その後も3バースト機構をフルオートに戻した「M16A3」、キャリングハンドルを着脱式にしてレシーバーに直接「光学照準器」をマウントできるようにピカティニー・レールを装備した「M16A4」へと発展してゆきます。なお、M16A4にはフルオート機構のモデルと、3バースト機構を持たせた2つのモデルが存在しており、現在でもアメリカ海兵隊で採用されています。
M16シリーズ最新モデル
フルサイズのM16シリーズにおける最新モデルは、「ナイツ・アーマメント社」の「SR-25」です。ナイツ社は、AR-10の生みの親であるユージン・ストーナーと彼の弟子であるC・リード・ナイトJrが共同で設立した会社で、M16シリーズのバリエーションモデルやそのアクセサリーを製造しています。クローンモデルともいわれるバリエーションモデルをコルト社以外でも自由に製造できるようになった背景には、コルト社のパテントが失効したためという理由がありました。
そこで、ナイツではM16の欠点を改良、追加装備による発展性を持たせ、口径も7.62mmに変更したSR-25を開発したのです。セミオートのみですが、スナイパーライフルとして非常に高い命中精度を誇り、アメリカ海軍の特殊部隊「ネイビー・シールズ」でも狙撃用ライフルとして採用されたほどの実力です。ちなみにSRとは、「ストーナー・ライフル」の頭文字です。
現在では、カービン・モデル(短縮型)のM4A1シリーズがアメリカ軍の主力となりましたが、M4シリーズだけでもかなりの情報量になるので、それはまたの機会にお話したいと思います。
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