ここ最近、日本周辺では軍事的に様々な動きがある。例えば、北朝鮮のミサイル発射実験や度重なる挑発行為、国内においてはオスプレイがトラブルで緊急着陸等。こと日本においては陸、海、空自衛隊が日々訓練を行い、実任務をこなしている。そんな自衛隊に関するニュースは周辺国のニュースに比べで圧倒的に情報量が少ないのが現代の日本である。
難しい話は省き、単純に自衛隊(筆者は航空自衛官だったので、航空自衛隊)について書いていこうと思う。
【航空自衛隊の任務】
筆者はもともと航空自衛隊で勤務していた。恥ずかしながら航空自衛隊に入隊し、任務につくようになるまで航空自衛隊という組織がどのような任務を担っているのかのすべてを理解することができていなかった。
皆さんはこの「航空自衛隊」がどのような任務をしているのか知っているだろうか?
・戦闘機で他国の航空機の領空侵入を防ぐいわゆるスクランブル
・災害が起きたときは救難ヘリコプターが救助に行く
・大きな輸送機に支援物資を積んで外国に届ける
やはり航空自衛隊は「空を飛んでいる」という印象が強いだろう。もちろん上記はすべて実際に航空自衛隊が行っている任務である。しかし、航空自衛隊が行っているのはそれだけではない、現代注目されることが多い、弾道ミサイル対処にも航空自衛隊は関わる。「ペトリ」や「PAKⅢ」等の言葉を聞くことがあると思うが、弾道ミサイルが日本に向けて発射された場合、航空自衛隊の高射部隊がこれらを迎撃する。そのような任務も航空自衛隊は任されているのだ。
では、もう少し細かく航空自衛隊の部隊について見てみる。
【航空自衛隊の部隊】
① 航空総隊隷下
・飛行隊:文字通り航空機(戦闘機や警戒管制機等)を運用する部隊
・警戒隊:日本の空を監視し、他国の侵入を防ぐための部隊
・高射隊:弾道ミサイルや敵戦闘機を地上からのミサイルで迎撃するための部隊
・基地防空隊:航空自衛隊の作戦の基盤である「基地」を守るための部隊
・施設隊:基地内や駐屯地の施設を健全に保つ部隊
② 航空支援集団隷下
・飛行隊:これは輸送機等の航空機を運用する部隊
③ 航空教育集団隷下:将来第一線で活躍するパイロットや整備員、その他の人材を育てるための教育部隊
④ 航空開発実験集団隷下:航空機や新しい装備等を開発したり、試験したりする部隊
あまり細かいところまでは説明していないが上記のように様々な部隊が空の防衛を担っている。
【活躍しないほうがいい組織】
航空自衛隊に限らず、日本の自衛隊は「活躍しないほうがいい」と言われる。自衛隊が活躍するのは日本にとって悪いことが起きたときだ。悪いこととはなにか。他国からの攻撃を受けたとき、大規模な災害が起きたとき。とにかく日本として悪いことが起きなければ自衛隊が表立って活躍することはない。
近年では東日本大震災のときに自衛隊が活躍したことが取り上げられたくらいだろうか?その他にもニュースになることはあったが、実はニュースにすらならないことがある。
それが「スクランブル(緊急発進)」だ。
【目に見えないところで活躍する様々な部隊】
筆者も航空自衛隊で戦闘機に乗っていた。その際はもちろんスクランブル発進を何度も経験した。筆者は北の空が担当だったので、基本的にはロシア機に対する対処だった。現在はロシア機の割合は少なくなっているようだ。今は中国の活動が活発になってきていることもあり、沖縄や九州の戦闘機部隊の中国機対処の割合が大きくなっている。
2016年度の航空自衛隊に依る緊急発進の回数は1168回に達している(防衛省統合幕僚監部の発表)。緊急発進の対象国は中国機が73%(851回)、ロシア機が26%(301回)、その他が1%だった。これで見てもやはり中国機に対する対処が群を抜いて多くなっている。
年間に1168回ということは単純に計算して1日に2~3回の緊急発進があるということだ。戦闘機パイロットは当たり前のように淡々と対領空侵犯措置の任務をこなしている。そのようなことが日本の空で起きているにも関わらず、多くの人はそのことを知らずに平穏な日々を過ごしている。しかし、それでいいのだと筆者は考えている。なぜなら「誰も知らない」=「安全が守られている」ということになるからだ。
緊急発進、対領空侵犯措置の任務を遂行している隊員に感謝しろとまでは言わないが、眼に見えないところでも自衛隊は活躍しているということを心の片隅に留めておいてほしいと思う。
【自衛隊を取り巻く環境】
自衛隊を取り巻く環境は刻一刻と変化していく。その中でもあまり変化がないことは装備であると思う。確かにF35という新しい戦闘機を導入したが、まだまだ足りない。世界の軍事大国では物量、性能、技術の向上が著しい。日本も「開発できるのではないか?」と言う意見を聞くことがあるが、本当にそうだろうか?筆者はそんなに簡単ではないと考えている。そもそもの防衛予算が足りない状況でどのように新規開発をするのか。おそらくこれから先も予算の関係で実現しないことは多いだろう。そしてその分のしわ寄せは確実に現場で任務を遂行する隊員が被ることになる。そんな状況から早く脱して、世界の変化についていけるだけの能力を組織として、国としてつける必要があるのではないだろうか?
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